元気になるオルソペディック ブログ
低侵襲で効果的!腰椎椎間板ヘルニア治療の新時代:椎間板内酵素注入療法とは?
-
低侵襲で効果的!腰椎椎間板ヘルニア治療の新時代:椎間板内酵素注入療法とは?
腰椎椎間板ヘルニア最新治療:椎間板内酵素注入療法が選ばれる理由とは?
腰椎椎間板ヘルニアは、多くの人々が悩む腰痛や下肢のしびれの主な原因の一つです。最近では、低侵襲かつ効果的な治療法として「椎間板内酵素注入療法」が注目を集めています。本記事では、椎間板内酵素注入療法の概要、効果、安全性について最近の論文を詳しく解説します。
【椎間板内酵素注入療法とは?】
椎間板内酵素注入療法はコンドリアーゼという酵素を椎間板内に注入することで、神経を圧迫しているヘルニアの原因部分を縮小させます。2018年に日本で認可され、従来の外科手術に代わる新しい選択肢として注目されています。
この治療は、以下のような患者さんに適しています:
- 保存療法(薬物療法や理学療法)で改善しない方
- 一側性の下肢痛が強い方
- MRIでヘルニアが明確に確認されている方
ヘルニコア療法は局所麻酔下で行われ、治療時間は短く、入院期間も通常1泊で済みます。そのため、患者さんの負担が少ないことが大きな魅力です。
【椎間板内酵素注入療法の効果】
広島県の脳神経センター大田記念病院で行われた調査では、椎間板内酵素注入療法を受けた患者さんの約80%が腰痛や下肢痛の改善を実感しています。また、日本整形外科学会の腰痛評価質問票(JOABPEQ)を用いた評価では、以下のような結果が得られました:
- 疼痛関連障害のスコア:治療前の中央値14.0から治療後100.0まで改善
- 歩行機能:治療前43.0から治療後93.0まで向上
- 腰椎機能障害や心理的ストレスも大幅に改善
MRIによる画像検査でも、椎間板の突出が縮小する例が多く、患者さんの満足度が高いことが示されています。
【ヘルニコア療法の安全性と注意点】
椎間板内酵素注入療法は低侵襲な治療法ですが、注意すべき点もあります。
- アレルギー反応の可能性 ヘルニコア投与後には、まれにアナフィラキシーなどのアレルギー反応が生じることがあります。そのため、治療後の観察が重要です。
- 椎間板高の変化 治療後、一部の患者さんで椎間板の高さが低下することが報告されています。ただし、9カ月後には多くの例で安定する傾向があり、長期的には椎間板の回復も期待されています。
- 適応の限界 高度な骨化病変がある方には適用できません。また、高齢者では効果が限定的な場合があります。
治療を受ける際には、十分な説明とリスク管理が不可欠です。脊椎外科専門医の診断のもとで適切に実施されることが重要です。
【まとめ:椎間板内酵素注入療法の可能性】
椎間板内酵素注入療法は、腰椎椎間板ヘルニアに対する新しい治療法として、大きな可能性を秘めています。低侵襲で患者さんの生活の質を向上させるだけでなく、手術に伴うリスクを軽減できる点が大きな魅力です。
もし、腰椎椎間板ヘルニアでお悩みの場合は、一度専門医にご相談ください。適切な診断と治療で、痛みのない快適な生活を取り戻すお手伝いができるかもしれません。
引用文献
- Ohtonari T, et al. Neurosurg Rev. 2023; 46(1): 59.
- Banno T, et al. J Orthop Sci. 2022 Nov 21.
- Takaki S, et al. J Med Econ. 2023; 26(1): 233-242.
椎間板内酵素注入療法
免責事項
- 当ブログの内容はブログ管理者の私的な考えに基づく部分があります。医療行為に関しては自己責任で行って頂くようお願いいたします。
- 当ブログの情報を利用して行う一切の行為や、損失・トラブル等に対して、当ブログの管理者は何ら責任を負うものではありません。
- 当ブログの内容は、予告なしに内容を変更あるいは削除する場合がありますのであらかじめご了承ください。
- 当ブログの情報を利用する場合は、免責事項に同意したものと致します。
- 当ブログ内の画像等は、本人の承諾を得て、個人が特定されないように匿名化して利用させて頂いております。
当ブログでの個別の医療相談は受け付けておりません。